出生前診断について考えたきっかけ
(※注)
出生前診断については人それぞれに考え方が違って、違っていて当然だと思います。
どんな考え方でも、それが否定されるべきではないし、考えて考えて受ける決断、受けない決断をしたならばどちらも正解なのだと思います。
今回、私たち夫婦で出生前診断について考えた記録を、備忘録という形でブログで残す事にしました。
決して参考にはならないですし、興味のある方だけ、
こんな風に考えた人もいるんだな
くらいで読んで頂ければと思います。
11週の検診での事
3月に胚盤胞移植を受け、妊娠判定陽性となりました。
不妊クリニックを4月で卒業し、ゴールデンウィーク明けに分娩予定の大学病院にて9週で検診を受け、その次は2週間後の11週での検診を受けに行ってきました。
これまでずっと1週間ずつの経過を見れていたので、2週間空く事に少し不安がありましたが、ありがたい事に赤ちゃんはスクスクと大きくなってくれていました。
CRLは5.2㎝。
少し大きめと言われましたが心配ないとの事です。
初めて3D画像で見た我が子は、ずーっと動いていて、先生を少し困らせていました。
あんなに小さかったのに、今もう完全に人の形をしていてびっくりしました。
結構長い時間超音波を当てていましたが、ずーっと見ていたいくらいでした😊
色んな検査が終わり、思いがけず先生から出生前診断を受けるのかどうかの意思確認がありました。
先生のお話
先生のお話によると、
・今のところ赤ちゃんになにか異常がみられるという事はない。
・出生前診断を受けられる時期というのは決まっているので、早めに受ける気があるのかどうかを聞いている
・遺伝子異常のリスクは高くなる、35歳以上の方には必ず聞いている
との事でした。
私からすると、まだまだ心臓が動いているかどうかさえハラハラしていて、いつどうなってもおかしくないという感覚でした。
けど、順調に育ってくれていて、
『このまま育つかどうか分からない』
という段階から、
『元気に生まれ持っての疾患がなく育つかどうか』
という段階に来ているんだなと感じました。
そんな何も準備ができていない私は、
「まだ何も考えてないです。」
と答えました。
先生には、まだ最終の羊水検査を受ける期間まで時間はあります。夫婦でよく話し合って決めて下さいと言われました。
私は、夫に相談する前に自分の知識をつけておこうと思い、ネットでいくつかのサイトを見ました。
そんな中ですごくまとまっている資料を見つけたので、それをプリントして夫に説明する事にしました。
参考にした資料はこちらです。
出生前診断とは
出生前診断とはそのままの通り、お腹にいる時にその子に疾患がないかどうかを診断する事です。
自分なりに理解した事を少しまとめておこうと思います。
種類
❶非確定的検査:母体への負担が少なく、流産のリスクがない検査
→あくまでも『可能性』があるかどうかしか分からず、確定的ではない
① 超音波検査(エコー検査)
胎児の首の後ろの厚さ(NT)からダウン症の疑いや奇形が発見される場合がある
② 母体血清マーカー検査(トリプルマーカー, クアトロテスト)
採血で行う。安価で受けられるが、検査結果の精度は低い。
③ 新型出生前診断(母体血胎児染色体検査:NIPT)
採血で行う。②よりも新しい検査で、精度は高いが偽陽性が出る可能性も。お値段は約20万円とお高い。
❷確定的検査:母体への負担が大きく、流産のリスクが生じる検査
→赤ちゃんの疾患の診断を確定させる
① 羊水検査(羊水染色体検査)
母体の腹部に針を刺して、羊水を採取する。
胎児の染色体の変化の診断を確定する事ができる。
流産や破水等のリスクが約 0.3%ある。
② 絨毛検査(絨毛染色体検査)
母体の腹部に針を刺して、絨毛を採取する。
羊水検査よりも早い時期に診断確定させる事ができる。
流産や破水等のリスクが約1%ある。
見つけられる疾患
出生前診断で見つけられる先天性疾患は、全体の4分の1程だそうです。
出生前診断を受けて異常がなかったからといって、生まれてきてから疾患がみつかる可能性も4分の3あるという事です。
常染色体の数に変化が生じた場合、大半の赤ちゃんはお腹の中で育つ事ができずに流産してしまうそうです。
しかし、21 トリソミー,18 トリソミー,13 トリソミーは染色体の情報が比較的少ないので、数の異常があっても成長する事が可能で生まれる事ができるようです。
こういった染色体の数の異常を出生前診断では見つける事ができるという事ですね。
この中でも一番多い疾患は、21トリソミーであるダウン症です。
18 トリソミー,13 トリソミーは重篤である場合も多く、生まれても亡くなってしまうケースもあるようです。
なぜ受けるのか
出生前診断の主な目的は、
「出生前に胎児の状態や疾患を調べることで、最適な分娩方法や療育環境を検討すること」
です。
事前に知っておいた方が環境を整える事ができたり、心の準備ができたりするというメリットがありますよね。
ですが、先天的な障害が見つかった場合、95%の方が中絶しているという事実もあります。
もちろん障害があるからという理由で中絶する事はできません。
「経済的事由」や「母体の健康への害」といった理由を立てています。
何かしらの疾患が見つかった場合、勿論障害の程度は生まれてみなければ分かりません。
ですが、上に兄弟がいて、その子の負担を考えてとか、上手く育てられるか分からないとか、そういった理由で実際には中絶を決める方が多いという事を知りました。
出生前診断の受診率
1998年~2016年の統計によると、
出生数全体97.7万件の7.2%
高齢妊婦数27.8万人における25.1%
が出生前診断を受けているそうです。
35歳以上の妊婦さんでいうと、4分の1が受けているみたいですね。
ちなみに海外ではデンマーク90%以上、イギリス60%、フランス84%、オランダ26%というデータだそうです。
我が家の意見交換会
私の意見
資料でひと通り知識をつけた後、出生前診断を受けた方のブログ、受けない決断をした方のブログを何個か読みました。
疾患がみつかって考えた末に中絶という結論を出した方、
考えて考えて、生まれてきた子がどんな子でも受け止める事を決め、検査を受けなかった方、
疾患が見つかり、夫婦で意見が分かれてしまった方、
疾患が見つかり、検査を受けた事を後悔している方、
色んな方がおられました。
どれもこれも未来の自分の姿かもしれなくて、出生前診断を受けるか受けないかという決断が重いものだと実感しました。
その結果、私がこうしたいと思った気持ちは、
『出生前診断は受けない』
という事でした。
検査方法について調べた時、とにかく羊水検査は受けたくないと思いました。
理由は流産の確率が1000人に3人あるからです。
自分的には流産の可能性が少しでもある検査は、選択肢にはありませんでした。
超音波の検査は11週検診の時に受けました。
先生は詳しく説明しなかったですが、おそらく首の後ろの厚さ(NT)を測っていたのだと思います。
お腹の子が動き回るもんで、先生が時間をかけてくれていたのはこの部分を測ってくれていたのでしょう。
今後も超音波検査は受けるので、何かしらの異常が見つかればそれは言って頂くつもりです。
次の選択肢として、新型出生前診断(母体血胎児染色体検査:NIPT)を受けるかどうかを考えました。
この検査は血液検査だけでできますし、確定診断ではありませんが精度は高いです。
受けるのであればこの検査だなと思いました。
あとは受けるか受けないか。
受けた場合を特に考えました。
受けて異常が見つからなければそれは安心に繋がるでしょう。
でも何かしら見つかったら?
見つかったら見つかったでそれは確定ではない。
確定検査である羊水検査はしないと決めた。
確定ではない疾患が見つかって、そこから生まれるまで不安でしかない。
生まれる前から疾患がある可能性を分かっていても、お腹の中でできる治療はありません。
生まれてからでないと状態を正しく分かる事なんてできないし、心の準備をしておくにしても事前に知っている事で完全に覚悟なんてできるのか。
そして、異常が見つかったら中絶するのか?
…この答えをリアルに想像できなかった。
できなかったけど、
私は『出生前診断は受けない』
そう思った。
ここまでは出た私の気持ち。
あとは夫の気持ちを知りたくて、資料を参考にしながら、まずは出生前診断について説明をしました。
そして、いつも私の気持ちを優先する夫なので、先に私の気持ちは伏せたまま夫の気持ちを聞きました。
「どう思った?どうしたい?」
夫の意見
夫の意見は、
『受けなくてもいいんじゃない?』
でした。
なぜそう思ったかを聞くと、
『もし障害があって生まれてきたとしても、オレはそれに順応できる』
という答えでした。
これを聞いて、私は妙に納得してしまいました。
夫のお母さんは少しばかり知的の障害があります。
夫のおじいさんは中途聴覚障害者だったようです。
夫は小さいときからそんな環境にも適応して、周りの親戚などにも助けられながら育ったという経験があります。
※結構苦労したようですが…。
田舎から都会に出てからも『郷に入っては郷に従え』で、色んな職場や人に順応してきた事を知っています。
どんな人とでもうまく付き合えるのが夫のすごい所です。
なんでも受け入れてしまいます。
『障害があって生まれてきても、受け入れて包み込むよ。』
と、なんでもないみたいに言ってました。
すごいなと思いました。
今言っているだけで、実際に障害のある子が生まれてきたら違うんじゃないか?
ちゃんと考えてる?
少しだけ思いましたが、
(夫なら全部受け入れてくれる)
不思議とそう思いました。
2人の結論
夫の意見を聞いた後、私が考えた事を伝えました。
「私も出生前診断は受けないでおこうと思った」
そうして自分の気持ちを伝えているうちに、リアルに想像できなかった答え、
では異常が見つかったら中絶するの?
に対して、私の気持ちが出てきました。
「結婚10年目でやっと授かれた子がどんな子でも、自分からバイバイするなんてできない」
言っているうちに涙が出てきました。
どんな子が生まれてきても、それはちゃんとお腹の中で自分で大きくなる事ができた子。
私は昨年8週で流産も経験しています。
その子は途中で心臓が止まって、大きくなる事ができなかった。
そんな中でちゃんとお腹の中で育って、生まれてくる事ができたら、それは生まれてくるべき命だと思った。
万が一障害を持って生まれてきたとしても、その子が生まれてきて良かったと思えるようにサポートしたい。
私たちの子だから。
それは障害を持っていても健康でもどちらでも変わらない。
夫がいてくれる心強さが後押ししてくれて、自分の結論を出す事ができました。
この人と一緒になって本当に良かったと思いました。
惚れ直しました。
私たちの結論は
出生前診断は受けない。
受けても受けなくても、産む事には変わりないから。
それならば検査の不安なく過ごしたい。
たくさん話して2人で決めたのならどんな結論でも良い。
ちゃんと話せて良かった。
夫の思っている事を知る事ができて良かった。
考える機会があって良かった。
2人で出した結論に納得しています。